これまでの街歩き

チョンジュ/ 韓国

2012年10月9日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2012年8月

街の「1歳の晴れ着」

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 オシャレな通りに出ました。名前は“ウェディング通り”。ショーウィンドウの向こうには、純白のウェディングドレスや、民族衣装タイプのカラフルなドレスが並んでいます。ウィンドウショッピングを楽しんでいると、子ども服が目に飛び込んできました。“ウェディング通り”なのに、子ども服?不思議に思ってお店の人に話を聞いてみると、「これは“トル”という、1歳のお祝いに着る服なの。両親と一緒にお祝いするのよ」と、店内を案内してくれました。
 2階へ上がると、若いご夫婦と赤ちゃんが衣装合わせの真っ最中。赤ちゃんは、クァク・シフという名前の男の子。「シフ」は“たくましい王になれ”という意味なんだそうです。生まれて最初の誕生日に、両親や親戚、友人たちが集まって、「病気もしないで元気に育ってくれてありがとう」と感謝の気持ちを込めて、お祝いをするんだとか。シフ君、初めての晴れ舞台に緊張してか、衣装を着せてもらいながら大泣きしてしまいました。おばあちゃんも、あやすのに必死です。
 どんな風に育って欲しいかご両親に聞いてみると、お父さんは「勉強よりも、芸能やスポーツに秀でた子どもになって欲しい」 、お母さんは「正しくて、健康であれば…」と答えてくれました。たくさん泣いて、体を鍛えて、正しい人になりますように。パーティーへ出かけるご家族の笑顔は、シフ君への愛情にあふれていました。

街の「流木オブジェ」

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 ハノクマウル(韓屋村)は、伝統的な家が700棟も密集する韓国有数の観光地。細い路地を歩いていると、なにやら壁からいろいろはみ出しているお宅が。国旗にプロペラ、奥の方には流木がたくさん…一体何でしょう?
 ご主人にお願いして、中を見せてもらいました。庭の大きな棚には、大小さまざまな石や流木が所狭しと並べられています。
 「収集した石と木を鑑賞しているんです。見る人によって、いろいろな物に見えるんですよ」と言うご主人。そう言われてみれば、ただの流木が鶴に見えたり、ワニの頭に見えたり…。外から見えたプロペラも、ご主人にとっては「目に見えない“風”を見るための道具」なんだとか。でもご主人の趣味とはいえ、こんなにお庭を占領して、ご家族はどう思っているのでしょうか。恥ずかしがりながら出てきた奥様に聞いてみると、「面倒です」の一言。「今はいいんだろ」と、慌てたようにつぶやくご主人に、「今はね」と答える優しい奥様。「気分が晴れた!」とほっとして手をたたいて笑うご主人を見て、長く寄り添ったご夫婦にしか出せない、なんとも言えないすてきな雰囲気にふれたような気がしました。ご主人が空想の世界で遊べるのも、奥様の理解があってこそ、ですね。

街の「家庭菜園」

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 のどかな住宅街を歩いていると、緑が茂るすてきなガレージを発見。よく見ると、上から紙の袋がぶら下がっていて…どうやらぶどう棚のようです。見とれていると、ワンちゃんにほえられてしまいました。
 庭で作業していた奥様にお話を聞くと、ガレージのぶどう棚は、夏の暑さ対策のためにご主人が作ったものだそう。「お客さんが来た時、新鮮なぶどうを採って、一緒に食べられるの」と、奥様もお気に入りの様子。
 緑あふれるお庭を見せてもらうと家庭菜園になっていて、足元にはもう少しで食べごろを迎えるスイカがゴロリ。うつむくように咲くかれんな白い花はとうがらしの花で、「この花すべてが実になるのよ」と教えてくれました。他にも、ゴマやエゴマを栽培して、自家製のごま油でナムルを作ることもあるとか。
 「買ったものは持ちが悪いし、年を取るとこういう暮らしがいいのよ」と、笑う奥様。チョンジュの方々は、ゆったり暮らすコツ、憧れのスローライフをよくご存じのようです。

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