これまでの街歩き

フィレンツェ アルノ川左岸へ/ イタリア

2013年7月23日(火) 初回放送

語り:林 隆三

撮影時期:2013年5月

街の「鉄職人」

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 いくつもの路地が交わる小さな広場で、近くで働く職人さんたちが楽しそうに話していました。一人の職人さんが工房を案内してくれるというので行ってみると…、実はこの陽気な職人さん、国会議事堂の照明器具も手がけたという天才鉄職人!仕事の様子を見せてもらうと、「昔となにも変わらないんだよ」と言いながら、炉で熱した赤い鉄をカン!カン!カン!とハンマーでたたき、自由自在に曲げていきます。この道50年という熟練の技で、あっという間に風見鶏の爪が完成。国会議事堂の装飾もキュートな風見鶏も、同じように一つ一つ愛情を込めて作っているのが伝わってきました。
 愛情と言えば、作業台の上で灰色の猫が職人さんの仕事を見守っていました。数か月前にふらっと入ってきたノラ猫なのだそうですが、ハンマーの音を怖がらずに工房に居着いてしまうなんて、よっぽど愛情を注いでもらっているんですね。

街の「旧貴族邸」

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 通りを歩いていると、建物のアーチの奥に中庭のようなものが見えました。ここは、旧貴族の邸宅なんだとか。一般公開の日だったので入ってみると外からは想像もつかないような広い中庭!猫と遊んでいるご夫婦に話しかけてみると、なんと12世紀から続く由緒ある家系の方で、29代目のご当主と奥様でした。
 中庭にある先のとがった塔はサント・スピリト教会の鐘楼で、15世紀にご先祖が寄付した土地に建てられたものだそうです。かつてフィレンツェでは、有力貴族が教会に土地を提供することが慣習だったため、自宅にいながら礼拝ができるように家と教会を結ぶ秘密の通路を作ったのだとか。家の中から教会を見せてもらうと、細い階段を上った先に教会の祭壇が見えました。

街の「猫庭園」

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 アルノ川左岸地区の東、有名なミケランジェロ広場へ向かいます。長い階段を上っていくと、途中でバラの花が咲き誇る庭園を発見。この庭園からはフィレンツェの街が一望できます。
 すばらしい景色を眺めていると、猫に餌をあげている人が。この女性はボランティアグループの一人で、交代で猫の世話をしているのだそう。猫の保護にはフィレンツェ市も協力し、餌を与える場所に庭園の一画を提供してくれたり、病気の治療や去勢の費用も負担してくれています。冬の寒さをしのぐための“猫の家”には、フィレンツェの紋章が付いていました。これは、フィレンツェ市長がプレゼントしたという証なんだとか。このような猫の保護地区は、市内にいくつもあるそうです。フィレンツェは猫も暮らしやすい街なんですね。

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