2014年3月11日(火) 初回放送
語り:小倉久寛
撮影時期:2013年7月
朝のメインストリートで、開いたばかりのお土産屋さんを発見。アジア風の、自転車タクシーの模型が売られているようです。ご店主がハケでせっせとホコリを払って、朝から精を出しています。
ジョグジャカルタでは自転車タクシーのことを「ベチャ」というそうです。道が狭いので、街を回るのに便利なのだとか。「ベチャに乗ると視野が広がって、風も心地いい」と語るご店主、なんだかとってもうれしそう。観光客だけでなく、地元の人にも愛されているんですね。
お土産としては、模型のほかにTシャツもよく売れているそうです。荷台で熟睡する運転手さんの姿も含めて、まさにジョグジャカルタの名物なんですね。
住民の大多数がイスラム教を信仰しているジョグジャカルタは、このとき断食月の真っただ中。日中は、食事はおろか、水を飲むことすらできません。
そんな時期なのに、さまざまな食べ物を並べた臨時の店を発見。聞けば、日没を迎えてから食べる断食月ならではの料理を扱っているのだとか。中でも、「バナナ・コラック」は売れ筋。ココナツミルクを砂糖、卵、バニラで味付けし、バナナを混ぜた甘い飲み物で、断食明けのエネルギー源となるのだそうです。断食明けに頂くあま~いコラックは、きっと体の隅々までしみ渡るんでしょうね。
道沿いのテラスで、小づちを手に何かを作っている人を見かけました。人形のようなものに細かい穴を開けています。隣で作業する男性は、その人形に色を塗っていました。これは「ワヤン・クリ」という影絵芝居に使う人形なんだとか。ワヤン・クリは、世界無形文化遺産にも登録されている伝統芸能。影絵芝居なのに、どうして色を塗っているのかと尋ねると、スクリーンの前から影を鑑賞するのが一般的だけど、お客の中には、後ろ側から影絵を人形劇として見たいという人がいるからだと教えてくれました。
完成したワヤン・クリを見せてもらうと、シャープな影がくっきりと浮かび、うっとりするほどの美しさ。やっぱり最初は影絵芝居として見てみたいものです。