上白石萌音の映画初主演作!舞妓になりたい少女の成長物語

舞妓はレディ【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

11月23日(木・祝)[BSプレミアム]午後1:00〜3:16

今回ご紹介するのは、2014年に製作された、京都が舞台でミュージカル仕立ての華やかな日本映画です。

舞妓になりたいと京都の花街にやってきた春子。しかし春子は鹿児島と青森のことばのなまりが強く、老舗お茶屋の女将おかみ・千春は断ります。そんな春子に興味をひかれたのが、京ことばを調査・研究している言語学者の京野でした。なじみ客で呉服屋社長の北野は、“春子がことばや作法をマスターして舞妓になれるか、お茶屋の遊び代を賭ける”と京野に申し出ます。春子のトレーニングが始まりますが…。

春子を演じる上白石萌音は本作が初主演。オーディションで選ばれた当時は15歳で、純朴な少女が舞妓へと成長していくまでを、歌い踊って演じています。言語学者で大学教授の京野を演じる長谷川博己、女将の千春を演じる富司純子、呉服屋の北野を演じる岸部一徳、先輩の舞妓・百春を演じるのは田畑智子と、共演者も多彩です。さらに竹中直人、渡辺えり、田口浩正といった周防監督作品の常連や、監督の妻・草刈民代ももちろん出演しています。

脚本も手がけた周防正行監督は1956年、東京生まれ。学生時代から映画製作を志して助監督などを務め、敬愛する小津安二郎監督の演出をほうふつとさせるピンク映画で監督デビューし、一躍注目されました。本木雅弘主演の「ファンシイダンス」(1989)「シコふんじゃった。」(1991)、海外でも上映され、アメリカでリメークもされた大ヒット作「Shall we ダンス?」(1995)、えん罪を題材にした社会派ドラマ「それでもボクはやってない」(2006)など幅広いジャンルの作品を発表し、いずれも高く評価されています。熱烈な映画好きの周防監督、本作はオードリー・ヘプバーン主演のミュージカル映画「マイ・フェア・レディ」(1964)がモチーフ。ロンドンを舞台に、下町の花屋の娘イライザが言語学者のヒギンズ教授によって、上流階級のことばづかいや作法をマスターしていく名作です。物語はもちろんですが、注目は日本の大学教授にしては大きい京野の研究室。デザインや装飾が、ヒギンズ教授の部屋へのオマージュになっていて、映画ファンはうれしくなってしまいます。

音楽は、映画・ドラマなどで幅広く活躍し、数々の周防監督作も手がけてきた、監督のいとこ周防義和。キャッチーなメロディーで、映画を盛り上げます。さらに、京都出身のシンガーソングライター、種ともこが劇中歌の作詞や歌唱指導、京都弁指導を担当しているのも話題となりました。

ユーモアもたっぷりのエンターテインメント。どうぞお楽しみください。

プレミアムシネマ「舞妓はレディ」

11月23日(木・祝)[BSプレミアム]午後1:00〜3:16


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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