ロバート・レッドフォード主演、感動の野球ドラマ

ナチュラル【坂本朋彦のシネフィル・コラム】

3月26日(火)[BS]午後1:00〜3:19

今回ご紹介するのは、ロバート・レッドフォードが野球選手を演じる名作です。

時代は20世紀のはじめ。天才的な野球の才能をもつ若者ロイは、プロの新人テストをうけるため故郷をあとにしますが、謎の女性ハリエットに銃で撃たれてしまいます。それから16年。ロイは中年の新人としてナイツに入団しチームを勝利に導いていきますが…。

ロイを演じるのがロバート・レッドフォード。寡黙で天才的な“奇跡のルーキー”はピッタリです。撮影当時47歳だったレッドフォードですが、ピッチングもバッティングも、なめらかで機敏な動きをみせてくれます。それもそのはず、レッドフォードは少年時代から野球が得意で野球の奨学金で大学に入学したほどでした。しかし、その後レッドフォードは大学を中退し、画家をめざしてヨーロッパを放浪、ニューヨークのブロードウェイで舞台美術を学び、俳優となります。「明日に向って撃て!」(1969)で世界的なスターとなったのは30歳を過ぎてから。ロイのように遅咲きではありますが、半世紀近くも数々の名作に出演、監督としてもアカデミー賞を受賞し、87歳の今も現役で活動しています。

共演者も魅力的です。ロイの幼なじみアイリスを演じるグレン・クローズは「ガープの世界」(1982)で映画デビューし、シリアスなドラマからコメディーまで、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍。本作ではロイのミューズともいえる女性を見事に演じています。ハリエットを演じるバーバラ・ハーシー、ロイを誘惑するキム・ベイシンガーも抜群の存在感で、華麗に画面を彩ります。さらにロバート・デュバル、ウィルフォード・ブリムリー、ロバート・プロスキー、リチャード・ファーンズワース…、名優たちの演技にうなってしまいます。

原作はピュリツァー賞作家バーナード・マラマッドの初長編小説。監督のバリー・レビンソンは「レインマン」(1988)でアカデミー監督賞を受賞した名匠です。本作では、野球の高揚感を主軸にしながらも、恋愛・友情・裏切りと、さまざまなドラマが重層的に描かれる見ごたえある作品に仕上げています。ソフトフォーカスや光と影を巧みに操った照明で詩情あふれる映像を作りあげたのは名撮影監督カレブ・デシャネル。名作曲家ランディ・ニューマンの音楽、スタッフの技も光ります。

草原でキャッチボールするレッドフォードの笑顔に、見ているこちらも思わず笑みがこぼれてしまう感動の野球ドラマ。どうそお楽しみください!

プレミアムシネマ「ナチュラル」

3月26日(火)[BS]午後1:00〜3:19


坂本朋彦

【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)

1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。

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