パディントンと金田一耕助！

2024年も３月になり、今年の期待作「デューン 砂の惑星PART２」（2024）「オッペンハイマー」（2023）が公開される。昨年末から公開され、今年初めの大ヒットになっているのが、「デューン 砂の惑星PART２」の主演ティモシー・シャラメが主演した、「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」（2023）だ。

プレミアムシネマ「パディントン」

3月5日（火）［BS］午後11:30〜翌午前1:06

プレミアムシネマ「パディントン２」

3月6日（水）［BS］午後11:30〜翌午前1:14

これを撮ったのが、５日と６日に放送の「パディントン」（2014）「パディントン２」（2017）の脚本を書き、監督したポール・キング。「パディントン」２作の評判が良く、おもしろかったところから、「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」の公開前から、“ここには「パディントン」のおもしろさが詰まっている”と評判だった。見ものはもちろんハリウッドの次の世代を担うと評判のティモシーだが、それだけでなく、「パディントン２」で悪役を演じた、「ノッティングヒルの恋人」（1999）「ブリジット・ジョーンズの日記」（2001）などでおなじみの、イギリス映画を代表する二枚目スター、ヒュー・グラントが、オレンジ色の小さな紳士として登場していること。大評判になった役だが、「パディントン２」を見た人にとっては全くの予想外ではなかったはず。

ここでヒューが演じるのはパディントンの敵役フェニックス・ブキャナン。監督のポール・キングが、「俳優は世界で最も邪悪な人種として有名だから」という理由で、悪役の職業を“俳優”と決め、ヒューに「君をイメージしながらキャリアの終わったナルシストの役を作った」と、手紙で出演をオファーしたという。ぶしつけとしか言えない手紙にヒューはユーモアたっぷりの返事を書いて出演を快諾し、返事を受け取った監督は「彼はコメディー俳優としてもすばらしく、俳優という職業がバカバカしいと思える鋭い感覚を持っている。彼がいろいろなことをちゃかすのを見るのは楽しいよ」と言い、ヒュー自身はブキャナンを「自分の美しさ、才能以外は何も見えていなくて、自分でも恥じ入るような行為をとってしまうヤツ」と言っている。

「パディントン」は1958年に出版されたマイケル・ボンドの児童文学『くまのパディントン』が原作。ペギー・フォートナムが挿絵を描き、世界30の言語によって出版され、日本では1967年にはじめて翻訳出版された。ペルーから出て来て“パディントン”と名づけられるくまちゃんのこの名前は、ロンドンの鉄道と地下鉄が通る大きな駅、パディントン駅からとられたもの。アガサ・クリスティー小説、ミス・マープル シリーズに『パディントン発4時50分』があり、エルキュール・ポワロの『プリマス行き急行列車』でも、パディントン発の列車が犯行現場になっている。それくらい有名な駅で、構内には“くまのパディントン像”がある。

プレミアムシネマ「犬神家の一族」

3月11日（月）［BS］午後1:00〜3:15

プレミアムシネマ「八つ墓村」

3月19日（火）［BS］午後1:00〜3:08

日本では「パディントン」のくまちゃんより有名なのが横溝正史が生んだ名探偵・金田一耕助だろう。彼が謎解きに挑戦するおどろおどろしいミステリーのおもしろさ！　ファンによる横溝作品の人気投票ではいつでも１位、２位を争うという「犬神家の一族」と「八つ墓村」の２作が今月は放送される。

角川映画の製作ではじまった市川 崑監督、石坂浩二が金田一耕助役のシリーズは６作品あるが、今回はその第１作「犬神家の一族」（1976）を同じ監督・主演コンビで30年ぶりにリメークした、2006年版「犬神家の一族」。「八つ墓村」（1996）は市川 崑監督作だが、ほかの会社で製作されて、金田一耕助を豊川悦司が演じている。
角川映画の角川春樹によれば、角川映画の第１作としてスタートを切る「犬神家の一族」の監督に市川 崑を考えていなかったが、日高真也の脚本があまりに、怨念がドロドロしていて、これでは観客動員は難しいと判断。市川監督に脚本の手直しと監督を依頼することになったそうだ。